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2番目の利用者さん

春爛漫
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我が家の前の桜、風に乗ってハラハラヒラヒラと舞い落ちるのです。
どうもうまく写ってないようですが・・・
なかなかに美しい。

だが、お陰で玄関前の階段、桜のはなびらだらけ。
中に枯れ葉も檜の花粉なども混じって、これは美しいとは言い難い。

毎日箒で掃き清める。

何でも手入れを怠ると美しさ保てないものです。

己の容貌を省みても思い知らされる今日この頃なのであ~る!


さてさて、訪問介護のつづき

最初の利用者さんから程なく次の利用者さんの依頼が入る。
今度は国立病院の院長をしていたという男性とその妻。
妻はアルツハイマーを患っているとのこと。

「いやだったら断っていいのよ」と依頼されたサービス担当者とは別のスタッフにこっそり言われた。

「んっ?」少し不安を感じながらも受けたけど、やっぱり「ん!」だった。

妻はほぼベットで過ごしていて、時々こわ~い顔になるものの概ね上品で優しい。
問題は夫、こちらは何故に介護必要ってほどなんでも出来そう。
自分のことを「先生」と呼ばせる。
そのころ、たしか母と同じ年齢、90歳じゃなかったか?
ヘルパーのほかに住み込みの家政婦さん、「先生」の秘書のような通いの女性もいる。

家政婦さんの休憩の時間に入って、家事の援助、妻の食事介助、入浴介助等するのだけど
夫が細かくチェックする。
これがなんとも陰湿。
いつも聞き耳立てている。

洗面所の掃除していると、「今下をふく雑巾で上を拭いてなかったかね?」と言って遥々リビングからやって来た。
「あっ、いえ」
「そうかね、そこはきっちり区別してくださいよ」・・・ギロリ!
物音で微妙に判断するらしい。
すべてにこんな感じ。

おまけに別な日に来ているヘルパーさんや家政婦さんの悪口ばっかり言う。
「私も言われてるんだろうな」とおもいつつ「はあ~」といいかげんに相槌。

もう、嫌で、嫌でたまらない。

訪問日は朝から憂鬱。
向う車でも、運転しながら「いやだ~、いやだ~、行きたくない~」と嘆き続ける。

それでも、「これが仕事というものだ」と心を励まして続けていたのだが・・・
ある日向う車の中で「嫌だ、嫌だと言いながら仕事してるのはいかにもつまらぬ。
ここは考えを変えて・・・そうだよ、あんな奴、言ったって高齢者、力だって私の方があるかもしれぬ。
力技で押さえつけることだって出来るんだぞ~。恐れるに足りぬわ!」

そう思った瞬間、今までの嫌々が収まり「けけけ~(これは笑い)もう大丈夫」気持ちすっかり軽くなる。
人間ってすべて考え方で変わるものです。

その日以来憂鬱は消え、軽~い気持ちで訪問できるように。
私って単純128.png

そうすると不思議なことに「先生」の方も態度は和らぎ、親しみを持って話しかけてくれるようになった(かな?)
相変わらず悪口は止まらないが・・・気にしない、気にしない。

秘書のような仕事をしている女性とも仲良くなり隙をみて色んな話をするようになった。
「先生自伝書いてるって言ってたけど、どんな事書いてるの?」
「もう、他人の悪口ばっかり!」
「やっぱり」
「ケケケ・・・106.png106.png106.png

「先生」は私に妻との馴れ初めについても語ってくれた。
そして「最近の医者は触診をしない、これは由々しき事。医者の治療は触診から始まるのだよ。」
こんな良い事も言っている。エライ!

そんなある日、「先生」戦争で南方の島に行った話しをしてくれた。
軍医として従軍していたとのこと。

詳しい内容は覚えていないが、どこかの島で見た南十字星の美しかったこと・・・とても忘れることは出来ない
と、遠くをみつめるように語られた。

私、それがとても印象深くって・・・
戦争と言うものは、もちろん辛い思い出ではあるのだろうが、ある人にとっては「あながち語りたくもないものでも
ないんだな」
私の母のように満州からの引き上げで、子どもを2人も失うという大きな悲劇は思い出したくも、勿論語りたくなんか
絶対ないことなんだけど、悲惨なことも辛いことも、それはそれで思い出なのかな、と思ったりした。

それ以来訪問時や対面時、最初のコンタクトとして「戦争中はどこにいらしたんですか?」或いは、
「終戦はどちらで迎えられたんですか?」と訊くようになった。

勿論私の興味を持つ事柄でもあるのだけど、最初の関係築くのにも恰好のツールだと思ったのだ。
みなさん嫌がることなく話してくださる。
辛いことではあったけど、話しておきたいことでもあったのかもしれない。

そして、この訪問以来、少々嫌なことも考え方を少しポジティブにすればなんとかなる、を知った。
これは大きい。

「先生」も私に良いヒントを与えてくれた利用者さんだった。


by foreveryoungrumi | 2019-04-17 01:27 | Comments(0)

102才で逝った母の介護の日々や、人生の黄昏時を迎えようとしてる自身の身の回り事を徒然なるままに


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